障害年金の申請において、よく「社会的治癒」ということばを耳にします。
お客様からも「私は社会的治癒が認められますか?」とのご質問が多くあります。

 

社会的治癒について

そもそも治癒には「医学的治癒」のほかに、社会保険上の「社会的治癒」があります。

厚生労働省によると「社会的治癒とは、医療行為を行う必要がなくなって、社会復帰していること」としています。
つまり、その病気が医学的治癒に至らなくても、自覚的・他覚的に病変や異常が認められず社会復帰し、かつ投薬治療がなく一定期間継続して普通の生活や就労をしている場合は、社会的治癒があったものとして、再発後の受診日を「初診日」として取り扱われることもある、ということです。

では、この「社会的治癒」がどの場面で関わってくるのでしょうか?

 

20年前うつ病を発症した男性Aさんの場合


現在45才の男性Aさんが20年前(25歳)に「うつ病」を発症。

5年間投薬治療を行ったのち、その後の5年間は病院の受診(投薬なし)がなく、一般就労(正社員)で働いていたとします。
その後、35歳で再びうつ病を発症。
障害年金の申請を考えるようになった。

① 25歳でうつ病を発症
② 25歳~30歳 病院を受診し、投薬治療を続ける。
③ 30歳~35歳 病院の受診なし、正社員で就労する。
④ 35歳 うつ病の症状が出現し、治療(投薬)を始める。

 

Aさんのケースで保険料の「納付要件」を確認する場合

初めて病院にかかった日なので、①で確認することとなります。
しかし、Aさんは20~25歳まで保険料の納付を怠り、免除申請の手続きも取っていなかったので、納付要件を満たすことができず、障害年金の申請は不可。
しかし、Aさんが③の期間を「社会的治癒」した、とみなされたならば、④を初診日として、改めて納付要件を確認することが出来る。

 

このように、過去に保険料の未納期間があり、障害年金の「納付要件」を満たしていない方でも、この「社会的治癒」によって救済される可能性が出てくることになります。

 

救済の手を

障害年金における「社会的治癒」。
多くの方が救済されることを願っています。